生活保護とギャンブル

2013年（平成25年）、兵庫県小野市の「小野市福祉給付制度適正化条例」が話題になっています。

生活保護費や児童扶養手当を、ギャンブル（パチンコ、競輪、競馬その他の遊技、遊興、賭博など）に費消する受給者の情報提供を市民に求める、という内容です。

「費消」という言葉がポイントですね。あまり聞き慣れないですが、ネットで調べてみると、意味は「金銭や物品などを使い果たすこと。」だそうです。（「消費」とは違います。）
まあ、慣れた言葉では、無駄使いを意味する「浪費」が近いですね。

条例の詳しい内容は、下記の小野市議会のサイトで見ることが出来ます。

（＃）小野市議会　第384回市議会定例会
「議案第17号小野市福祉給付制度適正化条例の制定について」
http://bit.ly/11I6enD
2013年（平成25年）　2月27日提出

Yahoo! クリックリサーチのアンケート調査では、投票者数の約90％が条例は「妥当」とし、さらに、みつけたら通報するかどうかのアンケート調査では、約80％が「通報する」とのことです。

（１） Yahoo! クリックリサーチ「生活保護費の浪費「告発」条例は妥当？」
http://bit.ly/11I7pDR

（２） Yahoo! クリックリサーチ「生活保護でギャンブル、みつけたら通報する？」
http://bit.ly/Xa8vdy

ちなみに、私は、（１）は「妥当」、（２）は「どちらともいえない」に投票です。

私は、（１）で、約90％の投票者が「妥当」としていることに、自分と同じ考えでありながら、高い数値だと驚きました。監視社会を危惧して反対する人がもっと多いと思っていたからです。
（例えば、市への電話など直接的な意見の場合は、賛成より反対する人の方が積極的に行う傾向がありますよね。）

しかし、この結果が、市民感情（国民感情）を反映しているのだと思います。
（ちなみに、ギャンブル業界の経営者などは、この条例に反対なのだろうか？　素朴な疑問です。）

この条例では、完全に受給者のギャンブルを禁じているのではなく、ギャンブルへの「費消」によって、さらに受給者の生活が維持できなくなることを防ぐ狙いがあるようです。

また、市民が目撃したのに通報しなくても罰則はないようです。私は、それでいいと思います。もっとも、多くの市民は、誰が受給者かなどよく知らないはずです。
要は、受給者が、「もしかしたら誰かに見られているかもしれない。」と自覚すれば、ギャンブルの抑止力になると思います。
それでもギャンブルしたい受給者や、ギャンブルする権利を主張する受給者がいたら、自立して生活保護を卒業してからすればいいのです。
そもそも、長い目で見た場合に、ギャンブルで生活を向上させられる人などほとんどいないでしょうし、自立のさまたげになるだけだと思います。
私は、「受給者はジャンボ宝くじを１枚も買ってはいけない」というつもりはありません。
受給者である間は、生活を向上させられないギャンブルをするべきではないと思うのです。

日本国憲法の第25条には、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」とあり、生活保護法および生活保護制度もこの理念に基いています。

（＃）生活保護法
http://bit.ly/11IbZC0

（＃）厚生労働省「生活保護制度」
http://bit.ly/VdhpB1

受給者はこの理念を軽んじてはいけないと思います。自立が困難な時期に、生活保護費は生活の為に、児童扶養手当は児童の為に正しく使われるべきで、そのお金をギャンブルで費やした挙げ句、さらに生活が困窮するのは、自立を助長するための制度の趣旨ではないはずです。

条例の内容をざっと読んでみた感じでは、受給者をいじめる制度ではありません。生活保護制度の理念を通じて、受給者へも配慮しながら福祉給付制度をよりよいものにしていこうというものだと思います。

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